Xデー

青いきき湯に浸かってのんびりしていたら、母親からメールが来ていた。
最悪の内容だった。

母方の叔父が。
土曜の昼、ついに首を吊ってしまった。
わざわざ叔母に連絡を入れてから、自分の工場で。

叔父は今も集中治療室にいるらしい。
一時は脳死状態にまでなったそうなので、一命を取り留めてもなんらかの障害は残るだろう。
ИЗЬ氏のアドバイスを受け、叔母に保護入院を検討させるよう僕の母親に連絡し、その後ずっと連絡がなかったからどうしているのかと思った矢先のことだった。

叔母は、叔父が正常でないという現実から逃げていた。
僕の母親が何度も病院に連絡するよう言っていたにもかかわらず、占い師を頼ったのだそうだ。
占い師から、叔父は病気ではないから大丈夫だと言われ、叔母はそれを鵜呑みにし、とても喜んで、一度も病院に連絡をしなかった。
一緒に占ってもらったとき、叔父も嬉しそうに笑っていたというが、それは違う。
僕にはわかる。喜んでいたのは叔母だけだ。
占いなんかに連れて行かれたら逆にショックだ。ものすごく傷つくだろう。
例えどんないい相であったとしても、占いなど信用できない。
そんなにいい相なのに何故、とまず納得しないと思う。
その場は愛想笑いで取り繕っておき、独りになったときにものすごく鬱になるだろう。
なにもわからない赤の他人である占い師なんかの言葉を信じるなんて、と。

僕の母親は何度も何度も叔母に病院へ連絡するよう電話した。金曜日も連絡したばかりだった。
叔母は「また入院させるなんて」と奇妙な情けをかけたり、世間体を心配している場合ではなかった。
すぐに病院に連絡すべきだった。
叔父は正常に物事を判断できない状態どころか、明らかに言動も異常だったのだから。
しかし、叔母を責めてもしょうがない。
叔母だって今までずっと辛い思いをしてきたのだから。
今はただ、叔父の無事を祈るしかない。

しかし。
これで叔母は、叔父側の親戚から完全な悪者にされるだろう。
お前が家を出て行くから、あの子が首を吊ったんだと。
そして母方の祖母も、僕の母親も、僕も、僕の家族も、叔母に連なるすべての親族が悪者にされるだろう。
何故なら、叔父の父親も偏屈爺で、母親も境界例だから。
先が思い遣られる。

misc

Posted by CINDY