逃亡者

逃げられたのは、別に1度や2度じゃない。
いろんな人が、僕の目の前から去っていった。
僕は、あとどれくらいの人に迷惑をかけたら、一人前になれるんだろう?

わからないことが多すぎて。
わからないからぶつかって。
加減できずに傷つけて。

昔言われたことがある。
「話を聞いてやれる。
見守ってやることもできる。
でも、お前を助けることはできない」
言われてみると、みんな僕から少し離れたところにいる。
至近距離だと、きっと致命傷を与えてしまうんだな、僕は。
僕の背後にいる「お化け」をなんとかしようとして、返り討ちに遭った人たちは、結局僕から離れていく。
ひとり、またひとり。
そうでなくても、僕の「お化け」に気づいて逃げていく人だって大勢いるのに。

自分でどうにかできるものなら、とうの昔にそうしてる。
どれだけ頑張っても、離れていった人たちは戻ってこない。
その距離は、僕からでは縮められない。
誰かが離れていくたび、僕は幾度となく涙を流す。
痛くて。
悲しくて。

泣いているのは僕じゃない。
インナーチャイルド……時が止まったままの、あの日の僕だ。

AC

Posted by CINDY