最後の「おまかせ」
髪を切りに鎌倉へ。
定期がまだ今月いっぱいまで残ってるから、いつもの美容院に予約を入れておいた。
３年以上通ったお店。
初めて鎌倉に来た時、最初に入った美容院。
その日僕を担当してくれた美容師さんは、僕が何もいわなくても、僕に似合うように素敵にカット＆カラーをしてくれる素晴らしい美容師さんだった。
以後、ずっとその美容師さんに毎月髪を切ってもらった。
２ヵ月に一度、カラーも入れてもらった。
さらに、僕がカラーリング時にアレルギーで大頭痛にならないのもよかった。
担当の美容師さんがいつも陽気で元気いっぱい、おしゃべりが楽しいのもよかった。
毎月髪を切るのが楽しみだった。
次はどんな髪型になるのかな？
次はどんなカラーになるのかな？
こんな楽しい美容院は滅多にない。
なにもかもが僕にマッチしていて、ものすごく気に入っていた。
最初にあの店に出会えた僕はすごくラッキーだったのかもしれない。
でも、それも今日が最後なのかなと思うと、ちみりとさみしくなった。
今日も『おまかせで』。
いつもの合言葉。
美容師さんは「好き勝手に髪を切らせてくれる人がまたひとり減っちゃうよ」と残念そうな顔をした。
白髪が目立たなくなるように根元の方から短くカットしてくれたり、トップ付近の髪が少ない僕の毛が立ち上がりやすいように梳いてくれたり、顔の輪郭が左右対象じゃない僕に合わせたアシンメトリで個性的なヘアスタイルにしてくれたり、いろいろと細かいところまで気を遣ってくれる美容師さん。
とっても大好き。
うん、今日も素敵な仕上がりだ。
「お元気で！」
最後に握手までしてもらった。
僕よりずっと小柄な美容師さんの、小さな手。
３年ちょっと、毎月ありがとう。
店から出たら、ちょっと泣けた。
都内にたくさん美容院はあるけれど、こんなにおまかせで楽チンな美容院、また見つかるかしら？