迷子

たびたび、僕は迷子になる。
本当に道に迷うほうの迷子は、しょっちゅう。
けど、そっちじゃなくて。
人生で迷子というか。
そんな感じ。

此処は何処なんだろう。
白い闇の中、立ち止まってあたりを見回す。
僕の行くべき道は?
僕が在るべき処は?
目印にしていた黒い光は、昏い霧に紛れて見えない。
誰かいないのかなと、声を出してみる。
それすらも、響くことなく静寂に融かされて。
その場に立ち尽くす。
位置も、価値も、意味も、わからなくなる。
自分が何であったかも思い出せなくなってきた。
まるで、意識が限りなく0に近く希釈されたかのように。
僕は、どうしてしまったんだろう。

嗚呼 探シ物ガ 見ツカラナイ
嗚呼 君ハ 掌カラ 零レテユク

……いつまでもそこで探し物や考え事をしたところで何も見つからないし何も始まらない。
とりあえず躓きながらでも前に進むことを思い出すまでの間は、当分そこで悩んでいることになることが多い。
いつだって、迷いが、僕の足を止める。

僕を迷わせるものは何?
過去の幻影?
一夜の夢?
空の腕が、虚しく宙を切る。
そこに、誰かが、いてくれたような気がしたのに。
気がしただけ、なのかな。
だとしたら、涙が零れるのは、何故だろう?

AC,blue

Posted by CINDY