食品添加物というか食品加工技術の話。

ウチの父親は獣肉の類をあまり口にしない。
単に嫌いなのだと思っていたが、そうではないことが先日判明した。
父親は肉類をまったく食べないわけではない。鯨は好きだし、馬も食べる。
肉および肉の加工品にどんな加工がしてあるのかを良く知っているから、一般的に売られている肉類を口にする気になれないだけなのだ。

先日lotusさんから国産のハムは水で膨らませてあるという話を聞いたので父親にちょっと訊いてみたのだが、ハムの何割が水なのかを知ると、食べるのが馬鹿馬鹿しくなると言っていた。
肉をピックル液とともに筒の中に入れておくと、あら不思議、筒いっぱいにお肉が膨らんでる。
いったい筒の中で何が!

ちなみに、かまぼこも大量の水とでんぷんと卵白でできていて、魚のすり身はわずかな量だったりする。
おでんのはんぺんがふかふかだけど冷えるとすごく縮むのは、それだけ卵白やでんぷんが多いということ。
すべてすり身と塩だけで作るととても重くて固くなる。

数年前に話題になった肉の接着剤の話はホントに幼い頃から聞かされていて、僕はそれこそ30年近く前からその存在を知っていた。
小さな肉を貼りあわせて大きな肉にみせかけたり、肉に形よくA脂を貼りつけてとんかつ用の肉に仕上げたりする。
昔は肉をよく見ると繊維の方向がバラバラでおかしいので、見分けられた。
最近はほとんどわからなくなっているそうなので、技術の進歩は素晴らしいのだなと感じる。

1x年前に父親からお骨のようなカラカラでカチカチな物体を手渡され、それが鶏のから揚げだと言われたことがあった。
母親がお骨のような物体を水に漬けると柔らかく膨らんだ。
父親が渡したから揚げ粉をまぶして揚げると、困ったことに鶏のから揚げの味がする。食感もかなり近い。
お骨のような物体の正体は大豆タンパクだった。安物のハンバーグは半分くらい大豆タンパクでできているとのことだった。

博士の動画を見た方はご存知の赤身肉を霜降り肉にする技術。
機械に赤身肉を入れると、四方八方から注射針が出てきて、脂肪を注入するという代物。
この脂肪がヘットならまだ上等なほうで、ひどいとラードが打ち込んであるらしい。
肉を食べた際、味に違和感を感じたことがある場合は、これかもしれない。
最近この手の加工は禁止されたようだが。

海産品なら大丈夫かというと、練り製品を含めいろんな加工がされた品が多くて。
特に魚卵の類は天然物かフェイクか見分けがつきにくくなっている。
いくらやキャビアのイミテーションは広く知られているとおりで、最近はイミテーションのほうがおいしかったりするのでタチが悪い。
ゼラチンでできたフカヒレもどきなどの魚介類のイミテーション、珍味類や卵白入りの魚肉フレークなどの加工品は父親の持ち帰ったサンプルをいろいろ食べさせられた記憶がある。
たらこは1000円以下のものだと加工中に崩れたばらこをチューブに詰めてあるものが多いみたいで。
かずのこはとびうおのばらこを結着剤で固めたものが多くて、なんとも食感の悪いものはこれなんだとか。
まずくなった貝柱はコハク酸が添加された液に漬けておくとふかふかでおいしい貝柱になるようで。
えびは尻尾が黒くなると鮮度が落ちている証拠なんだけれど、えびの尻尾が黒くならない液につけてから冷凍したものも少なくないらしい。

はちみつと称して水あめなどを褐変させたものがあったりするのが悲しい。
それじゃ詐欺なんで大抵ハチミツが混ぜてあるけど。
実はハチミツは水に溶けないんだぜ。そして燃えるんだぜ。
僕は純粋なハチミツが好きなんだがなぁ……しかも花粉が抜いてない、固まるヤツが。

父親から聞いて面白かったのは、塩に味をつける技術。
塩を調味液に溶かし、乾燥させることで味のついた塩ができる。
これがお茶漬けの素などに入れられている。
最近では技術の進歩によりさまざまな味のする塩も作れるようになってきたようだ。
もはやアジシオだけではなくなった!
カリウムを混ぜた減塩塩なんてものもある。塩なのに減塩とはこれいかに。

僕らの身の回りの食べ物はいろんな添加物にあふれている。
保存料、発色剤、着色料……国が指定した指定添加物だけで370種類もある。
そこに天然添加物を含めると膨大な数にのぼる。
もはやここまでくると添加物のない食べ物を探すほうが難しい。
食品加工技術の特許に関する資料を読んでいると、まさかと思うような加工がなされていて驚かされる。
いろんな本で添加物がたくさん含まれているからこれは食べるな!と書かれていたりするが、完全に無農薬で化学肥料を一切使っていない野菜、合成飼料や抗生物質を使わずまったく加工されていない肉類、卵、乳製品など、天然物で新鮮な魚介類などで作られた料理があったら、いったいいくらするのか金額を考えたくなくなった。
そこまでこだわる気にはなれない。
諦めたほうが幸せだ。なにより食品加工技術を知らないほうがもっと幸せだろう。

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Posted by CINDY