水のこころ

僕のこころは、多分水でできてるんだと思う。
……って、いきなり変な話になってるけど。

生まれたとききっと無色透明な純水で。
成長していくうちに、いろんなものを見聞きして、いろんなものを吸収して、混ざって、いろんな色になるような感じ。
液体だから、いつも不定形で。器に入れておくと、そこに収まって、一応同じかたちでいるように見える、みたいな。
でもやっぱり液体だから、器を傾けると、ゆらゆら揺らめく。時には沸騰したり、時には凍ったりもする。

悩んでるときはきっと、液体が、密閉された器の中で延々ぐるぐるしてるんだと思う。
器ごと上下左右めちゃくちゃに振り回してるみたいな感じで、中の液体はめちゃくちゃ。
液体自体にもあれもこれもいろんな色やものが混ざりすぎて、どろどろでぐちゃぐちゃになってて。
きっとドドメ色のゲルが、器いっぱいにねちゃねちゃしてるんだと思う。

器を振るのを止めて、そっとしておいたら、中の液体もやがて落ち着いて。
雑多なものが、器の底に沈殿して。
そういうとき大抵、器の天辺にぽんっと穴が開く。しかも突然。
閉じた世界に穴が開き、外界の空気が流れ込み、新しい何かを感じる瞬間。
そして、開いた穴から、新しい器に、そっと液体の上澄みを注ぐと……液体は新しい器に沿って滑り込み、新しいかたちになる。
完全な透明に戻ることはないけれど、そうやって取捨選択して、残ったものが混ざり合った、オリジナリティあふれる色になっていくんだと思う。
それと、自分では気づかないだろうけど、新しい器は、いつも自分が選んでるの。
最後に決めるのは、他の誰でもなく、自分だから。

今度の自分は、何色になるんだろう。
どんなかたちになるんだろう。
いまちょうど、器をそっとしておいてるときなのかも。

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Posted by CINDY