家族が遠い

一番愛してほしかったときに愛情を充分に受けられなかったとしても、家族を捨てていいわけはない。なのに、僕のこころは家族を捨ててしまったらしい。いまでもあの人たちが自分の家族だという実感は、ない。ただ家族のように接してくれるから、僕はそれに合わせていただけだ。そのことについて話したとき、親は「単に甘えるのが下手なだけだ」と一蹴した。僕に我慢をしろと言ったのは、誰なんだ。ただ一度を除いてそれをずっと守ってきた僕は、いったいなんだったんだ。僕のこころの中で一番重い枷だったのは、他の誰のことでもない、自分の家族のことだったのか。それがいまでも僕を苦しめているなんて。
……泣いたら少し楽になった。なんだか寂しがりが少しだけおさまったような気がする。
僕がゆがんだのは、親のせいではない。やはり、僕のせいなんだと思う。それでも家族を家族だとこころの底から思えるようになるまでは、まだ長い時間がかかるように思える。親ももうずいぶん歳をとった。時間はそんなに残されていない。いい加減に、許してやればいいのに。
……しかし、ここまで書いてもなんだか他人事のように思えてしまう……まぎれもない、自分のことなのに、遠い世界のように感じる。重症だなあ。

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Posted by CINDY