叶わぬ夢が、僕の歩みを止める

僕は昔から女の子になんて生まれてこなければよかったとずっと思っていた。つい先日までその気持ちが消えなかったほどに、強く思っていた。
いまさらのように気づいたけれど、僕はきっと、男の子に生まれて、弟のように可愛がってもらいたかったんだと思う。祖父が死んで、その弟が死んで、弟を可愛がる人は父だけになった。でも、そのときすでに僕は中学3年になっていた。一番可愛がってほしかった頃は、とうに通り過ぎていた。この前後から、頻繁に家を空けるようになった。それからさらに10年過ぎても、僕は女の子らしくするのが嫌だった。強制されるとなおのこと嫌がった。
僕は診断を受けたとき「女性らしさが未発達」とも言われた。小さい頃からずっと思い続けた叶わぬ夢が、僕のこころの成長を妨げていたのか。だ か ら そ こ で す べ て が 止 ま っ て し ま っ て い る の か。
ごく最近になってようやく化粧を始めたけれど、それも「仕事」だと思って初めて苦にならなくなった。人に言わせれば僕の化粧は化粧ではないらしい。ただ、口が紅いだけだと。それでも、僕の中ではすごい進歩だった。それまでの僕に比べれば、格段の進歩だと言える。

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Posted by CINDY