x10、それでも

「本人、いままで相当努力してきていると思うんです。
 ですが、この障害を持っていると、努力が結果に結びつかないということが、往々にしてあるんですね。
 でも、どうか、それを責めないであげてくださいね」

僕は、医師が母にこう言った7年前のあの日から、努力すれば報われるとは限らないという現実に直面することになった。
それまで自分は極度にトロい子なんだな、で済んでいた考えを、改めざるを得なくなった。
できて当たり前のことが何故できないのか、その理由を知ってしまったから。
「努力は決して裏切らない」なんて言葉は、Aの前では単なる戯言に過ぎない。
どこまでいってもついてくる、Aの主症状。
病院通ってた時期もあった。
お薬のんでたこともあった。
……でも結局、現在の医療技術では、僕が普通の脳味噌になるということは、ありえないんだよ。
このお味噌とは一生お友達でいなくてはならない。
生まれ持ってきたお味噌そのものが、自分自身であるから。
日々自分の特徴を研究して、工夫を重ねていくしかないんだよね!
そうやって、ここまでやってきた。
自分がAだってことが気にならなくなるレベルに達するまで、結構かかったなぁ。
なんて思ってたんだけど。
最近、自分がAだってことを何度となく思い出させられることが相次いでる。
仕事、日常生活、果ては娯楽まで。

……努力、してないわけじゃないんですよ……。

と言いたいのは山々だが、他人に自分の特徴を説明しても理解が得られることはほぼない。
他人の10倍努力しても結果を出せるかどうか激しく微妙って現実がどれほどしんどいことか、たぶんフツーの人には想像がつかないと思う。
言ったところで努力不足やら気合が足りんやらたるんどるからだとかやる気がないからだとか……そういう言葉で片付けられるだけなんで、結局黙るしかないじゃんね。
というわけで、またAだってことを思い出さなくなるまで、周囲に無理して合わせるのはやめようと思った……。
頑張っても追っ付けない、それで迷惑かけるのであれば、距離をおくしかないんだよね。
無理をするのではなく、身の丈に合ったレベルに抑えて、こころの平穏を取り戻すほうが先決。

ADHD,blue

Posted by CINDY