彼女にはもう時間がないのに。
親友の状況がかなり深刻であることがわかった。
親が世間体にこだわり、産むとなったら支援は一切しないと言い出しているのである。
おまけに彼女の妹の夫までもが迷惑そうに口をはさむ始末。
男は男で、養育費を払う条件として「親には一切話さないこと」、ときたもんだ。
彼女は友達以外に誰にも頼ることができなくなってしまっているのだ。
産むことが最善の策とは限らないという声もある。
堕ろす場合、産む場合の２つの選択肢があることを前提とした話し合いが必要であるにもかかわらず、ぜんいんが堕ろすことを前提に話し合いを進めてしまっている。
産む場合を前提に話し合おうとしているのは彼女だけなのだ。
こうなったら、彼女が家を出て、友達の応援をもとに何とかするしか策はないように思われる。
他にいい方法はないものだろうか。
こんなときに彼女のそばにいてやれない自分が腹立たしい。
今までいろいろと世話になり、時にはケンカもし、迷惑をかけたこともあったが、それでもずっと続けてきた仲。
なんでも言える、なんでも相談できる、僕の一番の親友。
その親友が、一番困っているときだというのに。
彼女にはもう時間がない。
なのに。