学校は、いったいなにを教えてくれたんだろう

ひとつの答えがあるとして。
そこに辿り着くまでの道は、いくつもある、そうで。
学校のテストみたいに、答えも道筋もひとつなんてことはない、らしい。
……今ごろになってそんなこと言われても。

学校が「答えはひとつだ」と教えるのは、どうしてなんだろう。
このトシになっても、学校は嫌いだ。みんなと同じじゃないと、叱られる場所だったから。
小さい頃の話なんだけど。
ある日、ニワトリの絵を描くことになって。僕は、茶色や黄土色のクレヨンでニワトリを描いた。
それを見た先生が。僕の絵を取り上げて、もう一枚白い紙を出してきた。
「ニワトリは白でしょ、茶色じゃないの」
僕は、飼育小屋にいた茶色いニワトリ(正確にはチャボ)を描いたつもりだった。
『飼育小屋には、白いニワトリなんていないのに……』と思いつつも、叱られた僕は、仕方なく白いニワトリを描いた。
ただそのとき、『白い鳥なら……』と、白い紙に水色のクレヨンで輪郭を描いた。
それを見た先生は「違うでしょ」とまた僕の絵を取り上げて、黒いクレヨンで輪郭線を描き直した。
夜空を描くときも似たような感じで。
みんなが黒い夜空に黄色い月を描く中。僕は独りで、紺色の空に、白と水色のクレヨンで月を描いた。
当然、描き直しだった。
壁に貼られた絵は、みんな同じ、白いニワトリと、黄色い月だった。
みんなと同じじゃないといけない理由が知りたかった。
『どうしてニワトリは白じゃなきゃいけないの? どうして黄色い月になるの?』
でも、幼い僕は、先生に叱られるのが恐くて、言い出せなかった。
他人に言わせると「先生に恵まれなかった、運が悪かった」らしい。僕はいまでも忘れてない。

反抗期に突入した中学就学前後から、僕のネジは外れたまんま、そのまま大人になった。
そしたら、大人になってからずいぶん苦労する羽目になった。
大人になっても反抗期が続いてる僕の精神年齢は、14歳前後のままで止まっているらしい。
……なんかさ、子供の頃にいっぱい我慢したのに、大人になったらさらに苦労が増えてるって、納得がいかないことない?

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Posted by CINDY