知らぬが仏

「知らない」ということは、本当に幸せだと思う。
人の命に限りがあるのは、この世の全てを知ることがないように、無限の時間を得られぬように、予めそう作られたのだとさえ思える。
知らなければ、苦しまずにすんだものを。
知らなければ、笑っていられたものを。
街ゆく人の笑い顔が、とても幸せそうに見える。
子供たちが、学生たちが、幸せそうに見える。
僕にもあんな頃があった。「知らなかった」頃が。
他の皆が知らぬ世界を「知って」しまった今、昔が懐かしく思えることさえある。
それでも知らない世界をもっと知りたいと思う自分。
僕のこころを余計に歪めるのは、そんな矛盾。

misc

Posted by CINDY