罅割れた空

一本の電話で、誤解がひとつ解けた。
まだまだあるのかもしれない。でも、1歩前進できたよ、ね。

僕は昔から烏がとても好きで、空高く舞い上がる黒く美しいあの姿にとても憧れていた。
最近は、夜の空を往く梟にも憧れていた。星空を背に空を飛べるなんて。
鳥になって空を飛ぶことができたなら。次に生まれ変われるのなら、鳥になりたい。ずっとそう思っていた。
でも、ある日、僕は空にヒビが入っていることに気がついた。
……おかしい。空にヒビなんて。
僕は空に手を伸ばしてみた。
すると、簡単に空に手が届いた。無論、空のヒビにも。
ヒビに少し触れると、空が少し剥がれ落ちた。
the other side of the broken hemisphere……空の向こうには、虚無。そこには、何もなかった。
僕はずっと、こころに空を描いていたらしい。
贋物の空が全て崩れ落ちてなくなった後も、ただそこに立ち尽くしていた。
なにも、できないでいた。

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Posted by CINDY