台湾……か
ばあちゃんちから帰ったら、今日は父親は出張だと聞いた。
僕は明日帰る予定だから、プレゼントは手渡しできないということになる。ザンネン。
そう言えば先日、父親から僕と母とばあちゃんとで秋頃に台湾へ行っておいでと言われた。先日導入した機械のメーカーの社長が、いろいろ世話をしてくれるそうだ。
僕には、考え方を変える機会が必要らしい。父親がいろいろ考えた結果は、海外旅行だった。不器用な父親らしい考え方だ。なんたって、いまどきアイスクリームを買ってきて僕のご機嫌を取るような父親だからね。
しかし先立つものがないと旅行というわけにもいかないだろうから、母親にこっそりとそこのところはどうなのかと聞いてみた。
「アンタはこれまで生きてきた時間よりこれから生きていく時間のほうがもっと長い。
でも私は、今まで生きてきた時間よりもこの先生きられる時間のほうが短いんだ。
これから私は遊ぶよ。時間とお金がある限り。財産なんて残しゃしない。残しても私は何も得しないからね。
でもアンタはまだまだこれから先があるんだ。
旅行を機会に変われるのなら、それでいいと思う。そのためだったらお金くらいなんとでもなるさ」
みんな僕を心配してくれていたんだね。
僕は、いままで叱られたよりもずっとたくさん可愛がられてきているはずなのに、それをほとんど記憶していない。
今度も忘れてしまわないように変われたらいいなと、少し思った。