花水木が咲きました。色は白です。
そこで非常に驚いてしまったのですが、花水木の花って、最初すごくみっともないんです。
ちんちくりんでとても花びらの小さい、薄い緑色の汚らしい花が咲く。しかもたくさん。
『えぇっ、花水木ってこんなみっともない花が咲くの……?』
ところがそれから2~3日後の夜。
『……?』
花水木があるあたりが妙に白いではありませんか。
近づいてみると、やっぱりそれは花水木の花でした。満開です。
あのみっともなかった4枚の小さな花びらは見違えるようにとても大きくなって、色も白に変わっていました。
小さな木なのに、いっぱいいっぱい、花が咲いていました。蛍光灯の灯に照らされた花は、よりその白さを増して、とても綺麗に感じられました。
……それは、去年の今頃、故人が植えていった木でした。
一度も花を見ることなく……それを思うと、とても物悲しくなりました。
ぼんやりと花を見ていると、突然、一陣の風が、木をゆらしました。
『あ……』
一瞬、故人がそばにいたような気がしました。
まだその死が現実のものと思えずにいる、四十九日の夜。

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Posted by CINDY