部長も昔は、契約社員だった。
今日は社長の指示で書類整理。といっても古いバインダから新しいバインダへ書類の山を綴じなおすだけなんだけど。
書類は、契約終了となった契約社員の書類だった。
書類に書かれた名前を見るたび、社長が懐かしそうに言う。
「ああ、○○ちゃんかぁ。
いい子だったね、非常に真面目に働いていたよ」
「××！ コイツはなあぁ……。
いや、まあ、なんというか」
「△△さんはね、□□くんの未来のお嫁さんなんだ。
まあ、社内恋愛ってヤツだねえ」
ふうん、いろんな人がいたんだなあ。
ん？ これは部長？ なんで部長の書類がこんなところに？？
「彼はね、もともと契約社員だったんだよ。
その頃の彼はすごくてね、いまよりもっと稼いでいたんだよ」
えー。取締役になってからのほうが契約社員の頃より稼ぎが落ちてるの？？？
いや、そうじゃなくて。
というか、額面をチラッと聞いただけでも相当な額を稼ぎ出してたみたい。スゴ腕だったんだなあ。
先日部長が言ってたっけ……
「そうね、開発も佳境に入ったあの頃は……なんでもとにかくいいから休みがほしかった。
こういうこと言っちゃアレなんだけど、なんでもいいから病気になりたかったね。
１週間前後入院できる盲腸あたりがちょうどいいかなあ、とかね。
こんなこと盲腸経験者の前で言うと怒られちゃうんだけどさ(苦笑)」
苛酷な環境に耐えると、お金はたくさん入るらしい……(汗)。
僕はそこまでしてお金がいっぱいほしいとは思わないんだけど、でも、始終お金に困ってたりするからやっぱりもっと働いたほうがいいんだろうか。
どーなんでしょ。