第四期ネット婚活時代～後編～
出戻りくん
この婚活サイトで成婚退会したにもかかわらず、出戻ってきた人。
離婚の理由は、元嫁が専業主婦を希望しているところを、自分の都合で貯金がたくさんほしいから働け、働かず家でゴロゴロする嫁は要らんといった発言をしたのがきっかけで、離婚になった模様。
稼ぎが薄いわけでもないのに、元嫁に頼るほど貯金をしてこなかったのかい。
元嫁が専業主婦を希望している理由をきちんと聞いてないよね。元嫁、その職なら激務だぞ。
相手とろくに話し合いもせずに自分の意見を通そうとするというところや、自分がこんなに頑張ってるんだからお前もやれとかいう押し付けがちょっとないな、と思ったので合わないと感じた。
話し合いは重要なんだよ、ましてや、晩婚ならなおのこと。
わかりあうためにかけられる時間が、若者と違って少ないんだから。
携帯メールくん
僕は仕事柄、携帯のメールはまめに見ることができないよと言ってあったにもかかわらず、顔合わせの連絡を携帯メールだけに入れてきたため、行き違いが生じた。
そして僕が謝罪するより早く、携帯で連絡が取れない人とは無理、というお断りのメールがきた。
携帯に来てるメールの数が半端なかった。
なんなんだろう、いったい。
不眠症くん
若くしてマンションを買って自活を始めたという人なんだが、なんしか神経質そうで転んだら折れそうな細い人だった。会う前の写真からわかってしまうほどに。
で、実際お会いしようという直前になって、仕事のストレスで不眠症になったとカミングアウト。
ちょ、マジすか、このタイミングで言うかそれを。
お会いしてみたら写真以上に痩せてしまっていて、不眠が嘘ではないことがよくわかった。
正直病気レベルのやせ具合。試しに軽く肩に手を触れてみたら、骨と皮みたいな感触が服ごしにわかるほどで。
後日のメールには……せっかくお会いしたのにすみません、不眠が悪化する一方なので、治療に専念しますとのこと。
治ってるといいね。
親が警察沙汰くん
一風変わったプロフだったので声をかけてみたところ、気が合って、何度かお会いしたりもした。
片親だったからか、ずいぶんと苦労をしたと思われる。かなり真面目な人だった。
これまでの婚活で一番女性をエスコートするのも上手な人だったかな。店の下調べとか完璧にやってたしね。
が、相手が、親が酔ってしょっちゅう警察のお世話になっているという話題が出たあたりで、徐々に会話に行き違いが生じるようになった。
ある日、婚活をやめることにしたというメールが届く。
彼はもともとは結婚する気などまったくなく、貯金もあったので家を買って固定費を少なくし、親の年金で賄いながら二人でのんびり暮らそうかなと考えていたそうだ。そして、その計画は順調そのものだった。
そんな中、少し欲が出て結婚を視野に入れてみたところから、少しずつ計画に無理が生じはじめたようだ。
結婚後は親と別居するつもりだったが警察沙汰になっても親が頼れるのは自分しかいないこと、未婚でも別段苦にならないこと、結婚するとお金をもっと稼ぐ必要がでてくること等から、結婚生活は自分にとって負担が大きく、幸せとは程遠いものなのかもしれないと思うようになってきたとのこと。
自分の一方的な事由から無駄な時間をとらせて申し訳ない……と、非常に丁寧な詫び文だった。
まあ、ご縁がなかったってことで。親御さんと平和に暮らしているといいのだけれど。
キティ被害者くん
この人は某婚活サイトスレでキティというあだ名がついているキワモノ女性会員のブログに悪口を書かれて、スレに転載されていた。
なお、異常なのはこの人ではなくキティのほうなので、ちょっと可哀想でもあった。
その後、わずか10日でサイトを退会した。
最後のメールにいい人だけれどもこの人と結婚したらどうなるだろうというワクワク感がなかった、ビビッと来なかっただけでお断りしないといけないのが辛い。というアレな言い訳をしていたのはさておき、退会理由。
12人並行でメールをやっていたら日常生活に支障が出た、自分にはネット婚活は合わないと思った。他の方法を模索するとのこと。
12人並行？と思うかもしれないが、条件いい人にメールが殺到するのよ、ネット婚活は。
すべてに対してバカ丁寧にメールの返事をして顔合わせていたら疲れて当然。
ケチな1500万
なんでそんなに年収あるのにこんなところ登録してるのかな、と思ったけど、妙に女慣れしてるんで、遊び目的なんだなと思った。現在もなお、有料コース契約を続けている模様。
まあこの人とは僕からも向こうからも疎遠にした感じ。遊び目的の人には真剣さ具合を熱弁するとすーっと撤退するんですぐわかるよ。
しかしそんだけ稼いでんだからこんなところでちまちま女ひっかけて遊ぼうとか思わなくてもいいのに。
実際、かなり倹約節約に努める性分のようで、というかぶっちゃけケチなんだよこの人！
だからこんなケチくさい遊び相手の探し方するんだよ！ しかもキャンペーン価格で入会とかさぁ！
ちなみに、この人がしてくれた話は割と面白かった。
年収欄しか見ていないと思われる女性の質問内容がほぼ鉄板で、時計はなにをしていますか、車は何に乗っていますか、家政婦を雇えますか。
そんな金があったら他に使う、とのこと。ごもっとも。ケチでなくともそう思う。
とあるCM撮影現場にきた女優が一般に言われているよりかなり太っていて、かなり仰天。さらに撮影後、チェックの折にマネージャから三割はやせて見えるように修正しろと指示が入ったとか。
あるのねそういうこと。僕も和田アキ子のポスターの目じりのしわ消ししたことあるよ。
後はこの人、見かけによらずかなりヘヴィなジャパメタファンだったんだよね！
JOEとかJimmyとかのサインをもらいに行っちゃうほどおちゃめさん。
車の中はクラシックとジャパメタという結構な極め具合だった。
よく見たら年収上がってたわ、修正。
……なにもネット婚活って地雷ばっかじゃないんだ、お断りのメールなのに、他に素敵な人が見つかったということをとても丁寧で気持ちを込めてつづってくれる人もいれば、僕が親の年金未払いくんのとき、４ヶ月も毎日雑談メールでなかなか話が進まず辛かったという話をしたところ、そうだよね、みんな真剣に探してるんだもんね、ものすごく結婚したい願望はあるけど人付き合いが下手なのと離婚のトラウマがあって臆病になってて、ゆっくり話して自分なりに納得できればとも思ってたけど、ペースが違う方にそれは大変失礼だよね、ごめんなさい……って正直に話してくれた人もいたし。
エンスーくん
古き良き時代の車を愛し、運転もかなり上手、国家公務員だけあって対応も紳士的と結構いい感じだけど実は隠れミリオタなどかなり偏った趣味のため職場で肩身が狭い人。
僕だってPC自作とか他人には理解しがたい趣味があるんで、別にその程度のオタク具合なら別にかまわないんだけど、この人子供希望してなかったのね。
僕は年齢的に厳しくても可能性があるならほしい方なんで、かなり長い間悩んだ挙句、条件不一致でお断りすることに。
ホント、いい人だったんだけどね。他の地雷度合が深刻だっただけに、いい人に見えてしまっただけかもしれないが。
自分の持てる限りの文章力で、簡潔かつ丁寧に感謝の気持ちを述べつつ、ごめんなさいメールを書いた。
彼とのドライブデートでかなり遠方の水族館に連れて行ってもらったのは、今でもいい思い出。
その際、茨城の産業道路の街灯のなさに衝撃を受けたのは秘密。茨城暗いよ！
エンスーくんをお断りしたあとは、ネット婚活をすっぱり諦めて結婚相談所へ行くことにした。
そこでも驚くべき言動をとるメンズが多くてかなり驚かされた。
婚活は世界びっくり人間ショーであると言えなくもない。