第四期ネット婚活時代～前編～
さて、ネット婚活は登録から時間が経つとどうなるか。
メールが来ないのは当然として、出したメールは９割がた無視か即お断りになる。
ので、会話できる人がほとんどいない。
稀に会話できるとすれば、大抵が地雷である。
アラフォーともなれば相当な。
宅配便くん
営業の割に最初から論点がずれていてひどかったのだが、この人は家族と協力し合いたいと言っている割に、何を妻と分担したいのかがひどかった。
宅配便や郵便の受け取り、発送、公共サービスの部屋立ち入りの立ち会い、緊急時の連絡、情報収集……
配偶者は君の便利屋ではない。
前の旦那に人間としてではなくメイドや道具の類として見られていた僕としては、こういうの許せないんで。
40超えると介護要員がほしいのだと言われる所以かね。
カラーセラピーくん
婚活じゃなくてカラーセラピーの修業をしに来ているようだった。
セラピー断ったらお断りメールがきたぜ。
家計簿くん
年収の関係か、とにかく節約、節約とうるさい人。会話の多くが節約話。
そのためにタバコやクルマなどが無駄だー！と神経質な主張を始めたので、時間が無駄だと感じて断った。
神経質さ具合においては前の義母を思い出させる。
僕は掃除のできないAだし、B型、大雑把なので、神経質な人とは合わないぜ。
後はこういうことを書くべきではないんだけれども……この人は手帳持ちのようだった。
手帳もちの人の労働条件の悪さは折り紙付きなので、こうなるのもやむなしか。
自己破産
話が順調に進んでたんだけど、いざ顔合わせとなったとき、まず気になったのが、体型詐称。
普通体型と書いている割に明らかに小太り。
この人の中では体型の認識がずれているようだ。
で、お茶しながら話していたところ。
「いろいろ正直に話してくださる方なので僕も正直に話します」
と言って飛び出してきたのが。
自己破産。
借金の理由がまたアレで。
母親が亡くなった時にちょっとおかしくなってしまって「よくないお金の使い方をした」とのこと。
その年収で破産するほどの借金って……ありえない額を何に使ったのだ。
宗教かゆ。
で、向こう数年カードが作れないので、お買い物の際はカードの名義を貸してください！だと。
笑顔で。
感覚がずれているにも程がある。
破産、つまり借金を踏み倒しているということは、その借金が返済されなかったことで困る人もいるということ。
他人様に迷惑をかけておきながら笑顔でカードの名義貸せとかどういう神経をしているのだ。
その場は笑顔で引いたが、僕がお断りメールに厳しい言葉を並べたのは言うまでもない。
弁解するようなメールが来たが、言い訳を各個撃破し、ご辞退いただいた。
学歴があろうと、年収がよかろうと、人として道を踏み外している段階で僕とは相容れない。
弁護士くん
九州に住んでいるけど、仕事でちょくちょく東京にいきます。
って、嫁は地元で探しとけ。
遊びが目的と思われるため、放置。
NASA
コイツは本当に失礼極まりなかった……。
まず、いきなり前回別れた理由と、直近の顔合わせがいつ頃か訊かれる。
何故そんなことを答えなければならないのか。誰からも離婚時期は訊かれるので、それを答えておくことにしたけれども。
この配慮のなさ、空気の読めない質問……こいつにはNASAというあだ名をつけることにする！
NASAはバツイチなのだが、離婚の理由がひどかった。
前の嫁とのセックスレス。
NASAはその、なんだ、実は遅いようで、嫁ではイケないのをずっと隠していたところ、あるときバレて、嫁がシラケてしまい、以後レス→離婚になったとのこと。
「レスは崩壊はじまりなので、体の相性は重要だと思っています」
語尾にｷﾘｯとかつきそうな勢いで書くなよそんなことを！
というかお前は遅いのを治そうとはしなかったのか！
ちゃんとイケる女性ともお付き合いしてたそうなのだがオペ看だったとのこと。
それは……医療行為ありませんでしたかね……とは聞けなかった、さすがに。
文面にも品がなかったんだよな……毎度、雑談に対して変なレスポンスも多かった。
「エンジニアの子供に女の子が多いのは、ひざの上でノート使うとタマタマがあっためられるのでオスができにくくなるとかいう話らしいですね。オスメスどちらが希望？」とかね。
いや、うん、ウチの社内の男性の子供は女の子が多いという話題を振った僕が悪かったね、マジすまん。
しまいには、年頃の娘さんをお持ちの方といまメールのやり取りをしているといううれしそうなメールがきて、あかん、コイツは本当に病気だず、と思って話すのをやめた。