我侭の通り雨

我侭に育った弟を見ていたからか、僕は我侭は見苦しいものだと思っているフシがある。
そして、我侭は言ったところで通るものではないとも思っている。
まあ、お決まりのように「お姉ちゃんだから我慢しなさい」と言われ続けたせいもあるのかもしれない。
駄々をこねて親を困らせた記憶や逸話がほとんど残っていないほど、僕は我侭を言ったことがない、ある意味可愛げのない子供だったようだ。

そんな僕にも、我侭を言いたいときはある。
でも、そんな我侭など、言えば大きな衝突が生じ、そこですべてが終わってしまうのもわかっている。
故に言えないし言わない。

昨夜寝つけなかった僕は、ものすごく我侭な彼女に彼氏が尽くすミニゲームをプレイしていた。
彼女の我侭ぶりを見ているうちに、言いたいけれどいえない我侭を思い出し……気づけば、僕は泣いていた。
ゲームの最中から、涙が止まらず。
ゲームオーバー画面を前に、そのまま何十分も。

一歩道を譲るだけで、ぶつかって砕け散らずにすむのなら。
なにも我侭など言わなくとも、僕がほんの少し、意識のレイヤをずらすだけでいい。
だが、それには相応のパワーと時間が必要だ。
しばらくの間、僕のこころは雨模様かもしれない。
雷を伴い、痛いほど叩きつけるように、強く激しく降っている。
しかしいつまでも雨が降り続くわけでなし、やがて晴れる日も来るだろう。
この雨は、きっと僕が成長するために必要な雨なのだ。
どんな花も、雨が一滴も降らなければいずれ枯れてしまうのだから。

泣けるうちに泣いておけ。
後から泣いても遅い。

misc

Posted by CINDY