僕が僕で居られる場所
いつからだろう。家族と一緒に居辛くなったのは。
中学？ 小学校高学年？ ……いや、もっと昔か……？
理由が「見たいテレビを見せてもらえない」、とかならまだいい。
やっぱり、自分よりも弟が可愛がられる現実に我慢ならなくなったときだったろうか。
あの時、泣いてでも親に甘えていればよかったか？
親に面倒をかけるようなことになってでも自分の思うように過ごしていればよかったか？
いまさらそんなことを思ったところで、何が変わるわけでもなく。
小学校高学年頃から部屋にこもるようになり、中学の頃から家を空けるようになった。高校を出る頃には週末に家を出ない日などほとんどなくなっていた。
そして社会人に出て、家を離れて別の場所にやっと自分の居場所を見つけたと思ったら、それは幻だった。
どこにも居場所がなかった。
今、どれだけ生活に困っていても、この「僕が僕で居られる場所」を失いたくない。
……でも、あの家に一度帰らないといけない……。