「これほど花が集まることはほとんどありませんよ。愛された方だったのですね……」
故人に手向けられた花の数が、つけられた法名が、故人の人徳を表していた。
それだけ、偉大な人だったのだ。
山と積まれた夜伽見舞の数々。御悔帳に綴られた多くの名前。通夜に参列する無数の人々。
誰もがあまりの突然な死に驚きながらも、故人の思い出話を口にする。
確かに、物をハッキリというこわいひとだったかもしれない。
でも、やさしいひとだった。他人の世話を焼くのが好きなひとだった。つきあいが広いひとだった。
兄弟からは認めてもらえなかったかもしれない。けれど、他のみんなは認めていた。
それが、この、参列者の数となっているのだから。
僕の葬儀は、これほどにはならないだろう。僕は器の小さい人間だから。

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Posted by CINDY